原作者のシュヴァリエは、フェルメールの描いた「真珠の耳飾の少女」(もしくは「青いターバンの女」)が大好きで、同題の小説を書きました。それをそのまま脚色なしで映画化したものです。
全く主人公グリート役のスカーレット・ヨハンセンは、選ばれるべくして選ばれた女優です。特に唇が。
頼りなげな太陽の光が左手から差し込んでいるフェルメール独特のあの構図がいろいろな場面で出てきます。
また、フェルメール婦人の髪の毛のウェーブ、義母の洋服のカラー(衿)、娘の巻き毛、戸棚に置かれた果物、居室のチェンバロ・・・
どれもこれもそっくりそのまま絵画から切り取ったみたい。そして人物は絵画の中を歩いているかのようです。
セリフが少ないのも特徴です。(多分一番しゃべっているのは義母?)
グリートが各場面でどんな気持ちだったのか、見ている人それぞれ感じ方が違うでしょう。
見る人はグリートの表情や仕草から(それもたいていスカートをつまんでひざを曲げたお辞儀だけの)気持ちを感じ取らなければなりません。それが映画の良さですね。小説は必ず文章になっていますから。
続けざまに二度も見てしまいました。