壜の中の手記

短編ミステリーなのかな?ミステリーというよりも奇譚集といった感じかな。

どの話しも意外な結末が待っています。

 

著者のジェラルド・カーシュは、作家になる前は本当に何でもやった人物らしい

プロレスラーだったこともあるんだとか。

ただこのカーシュという人は、科学大好き人間のようで、

話の中に生物学的なものや、異次元空間的なこと、遺

伝的なことなどがちょくちょく出てきます。

 

ネタばれになりますけど

『ブライトンの怪物』は、昔イギリスの海岸で打ち上げられた人魚のような生物が、

実は日本のレスラーが広島の原爆で吹き飛ばされ、

時空を超えて現れたというオチでした。

鱗に見えたのはケロイド状態の皮膚だったんです・・・。

 

そのほかにも奇想天外な内容が盛りだくさんで面白く

今は、カーシュのもうひとつの短編集「廃墟の歌声」を読んでいます。

またまたネタばれになりますが

(というか、この手の小説ってネタばれしないと感想が書けない)

足の骨を折って廃墟に閉じ込められた男が出会う

正体不明の生物、彼らが歌う歌は

 

 

 

 

実は第三次世界大戦時にイギリスで歌われていた

マザーグースの歌だった

そしてその生物は、放射能汚染から身を守るため

地中深く潜った人間の成れの果てだった

というものでした・・・ああ、恐ろしい。

 

恐ろしいといえば、

短編集を何冊も続けて読むと

あの内容はどの作者が書いたのかが全く分からなくなってしまうのです。

 

小説って数をこなせばよいというものではないようです。

じっくり何度でも読み返し自分の物にすればいいんでしょうけどね。

 

ま、この歳になって切実に感じます。

頭の中のファイルが整理されなくなっちゃったということなのかな

・・・ああ、恐ろしい。

 

ダブりナーズ

たまたま観ていたテレビに、桜庭一樹が出演していて、

アイルランドはダブリンに赴いていました。

 

そこで紹介していた本が、ジェームス・ジョイスの『ダブりナーズ』。

ニューヨークに住んでいる人々を「ニューヨーカー」と呼ぶように、

ダブリンに住んでいる人たちをダブりナーズとあらわしています。

旧翻訳では「ダブリンの人々」でした。

このように都市名に接尾語をつけて「○○の人々」といえるのは、

世界的にみても、ニューヨーク、モントリオール、パリ、ロンドンくらいらしいです。

 

内容は短編が10篇ほどあって、20世紀初頭のダブリンの町に住む、中級から下級市民層が主役です。

例えば親しんでいた牧師さんが亡くなって、家に行って最後のお祈りをしたがっている少年の心理。

また、アル中の父を捨てて恋人とアメリカに渡る決意はするものの、船に乗ることができなかった女性のジレンマ。

友人の自慢話を疎んじながらも、結局は行動を共にしてしまう学生。結構そこいら中に転がっている内容なのです。

 

あくまで日常にこだわっているのか、物語は特に変哲もなく淡々としているし、

結びも何気なく完結するのですが、異国の異世代の事なのに

やはり人間ってみな同じだなと、特に根拠もなく納得してしまいます。

 

かっぱとうさぎ

で、うちの伝統工芸職人は毎日学校へデッサンに通っています。
午前中三時間でデッサンをして、先生に添削していただいています。
午後からはデザインの勉強をしてくるのですが、
先日先生が不在だったため、少し時間が空いたようです。
 
タッパーでひとつ、うさぎを作ってきました・・・2センチ大の。
それからかっぱを一体・・・5センチ大の。
思わずポーズを考え写真を撮っちゃいました
 
本当は茶色の熊もいたらしいのですが、
紙粘土ゆえ潰れてしまってそうです。
 
 
 
デザインより、小物とか創作菓子職人とかへの道を勧めている私です。
 
後日談・・・タッパーの中でカビの生えたうさぎを十体発見・・・
 
   

夢見るパンダちゃんクッキー

かなり前の話になっちゃいますが、

うちの受験生がバレンタインデーにクラス全員にあげる

パンダアンド熊ちゃんクッキーを焼きました。

しかも一個一個合格メッセージと名前入りで・・・

なんともこの時期に余裕ある行動・・・

メッセージはチョコレートを溶かし、なんと爪楊枝で書きました。

面白そうなので母も一個作らせてもらいました。

ソレが右写真下の合格豚クッキーです・・・

余りにも面倒くさいので一個でやめましたが・・・あくび

書き込んでいるJKの姿を見ると、あたかも伝統工芸職人風です。

はやくがくればいいのですが・・・

 

ユメ十夜

「こんな夢を見た・・・」で始まる
夏目漱石の「夢十夜」という小説を
オムニバス映画にしたもの。
一夜から十夜まで、監督、俳優、構成全部違います。
第七夜などはアニメーションです。たぶんFFのアニメーターが作っていると思うけど・・・
 
特に面白かったのは第六夜。
監督は松尾スズキで、主演は阿部サダヲ
 
護国寺で運慶が仁王像を制作するといううわさを聞いて
阿部サダヲ紛する自称芸術家が見物にでかける・・・という内容。
運慶の役はTOZAWAというダンサーです。
(松尾スズキの趣味なのでしょうか・・・ほぼドラゴンボールのコスチューム)
テクノっぽい音楽にあわせ
ノミをふるう(まねをする)と、最後の一振りで木が割れ、
中から カパアァァッと 仁王像が現れます。
 
見物人が言うには、
「達人ともなれば木を彫るのではなく、
木にうずもれている仁王像を彫り出すのです・・・」と。
(このあたりは漱石の文章をそのままといった感じです。)
 
なるほどと納得した自称芸術家、
早速自分もやってみて小振りながら仏像くらいは出てくるだろうと
家の庭で踊りだしました。(このあたりはかなり松尾スズキの脚色)
 
で、気分も高まった頃、ノミを一振り・・・
 
でてきたのは 鮭をくわえている木彫りの熊。
 
芸術家としての器の違いをまざまざと感じさせられたという物語です。
 
このように基本的には漱石の小説にかなり忠実に
しかし各監督の特性を大々的に出している
しかも飽きない映画でした。
 
市川昆なんかも良かったです。
恐怖系ですが、きれいな闇を撮っています。
 
ま、結局夢の世界なので、やりたい放題ということもあります。