たまに週間文春・週間現代を読みます。
時事ものよりコラムが目当てです。
数年前嵐山光三郎が現代に「者の言い方」というコラムを連載していました。
最終回の切抜きをなぜか持っています。その内容は・・・
「ハナニアラシノタトエモアルゾ サヨナラダケガジンセイダ」
ご存知、井伏鱒二の訳詩です。
原典は、唐代の詩人「干武陵(うぶりょう)」の五言絶句(クーっなつかしい・・・)
「勧酒」。書き下すと、
君に勧めようこの金の杯を
なみなみとついだ酒をどうぞ辞退しないで下さい
花が咲くときは風雨が多いもので
人の世にはいつも別離が待っているものです
という、親しい友との別れの宴を催したとの乾杯をする時に詠ったものでしょう
コレが井伏鱒二によると
コノサカヅキヲ ウケテクレ
ドウゾナミナミ ツガシテオクレ
ハナニアラシノ タトエモアルゾ
サヨナラダケガ ジンセイダ
となり、井伏を師として仰ぐ太宰治が、後半部分を好んで詠んだこともあって
退廃的な世相を反映して、孤独感あふれる捨てゼリフ的な要素が強くなってしまいました。
このフレーズは、生きている人が言ってこそしびれるのであって、死の寸前に言ってはいけません。
者の言い方は、だれが、いつ、どこで言ったかによって変わってくるのです。
というものでした。
このごろ良く思うのですが、考えている事を文章にするのはむづかしい。
他人に分かる文章にするのはもっとむずかしい。
後に残らない言葉にするのはさらにむずかしい。
せっかく言葉にしたのに正確に捉えてもらえたかどうかは分からない。
日本語の表現は複雑多岐、ですから、表現の仕方って日々工夫しなければなりませんね。