絲山秋子の短編です。
主人公のカッツオと恋人の中村かりん、カッツオに片思いの片桐妙子の三人の人間と、ファンタジーという神様のお話。
ファンタジーは孤独の中に生きる人の話し相手をするの役目という未完成品の神様なのですが、物語の中で大変神様的な役割を担っています。空気のような・・・
人間はみな孤独を背負っているのだという事。『寝る時と死ぬ時は一人なんだよ』という事。孤独を知っている者が、そんな自分を通して人を見つめてあげる事ができるんだよという事。そんな事らをたった一センチの厚さの文庫本が語ってくれます。
絲山秋子は芥川賞作家ですが、受賞作「沖で待つ」も大変薄くて読みやすかった。
情景が手に取るように分かる、というか、映画が私の中でできちゃうような文章を書くなぁと思う。
私のなかでは、ファンタジー役はレッド・ツェッペリンのジミー・ペイジだなぁ。とか・・・
絲山秋子は群馬県高崎市に住んでいるのですが、彼女のエッセイ「絲的生活」もおもしろい、祭り嫌い、車好き、担当者とゲテモノ食いごっこなど人気作家とは思えない日常が書かれている。「絲ってなかなか変換できないでしょう?チンジャオロースって打ってみてください」って、この感覚!大好き。