倉橋由美子著 講談社文庫
主人公が訪れるカクテルバーから展開する非現実世界の短編15話。
各編に出てくる女性が、浮世離れしていて(或るときは機械仕掛けの、或るときは南国の腐った果実の中身のような・・) 姿としては想像することができないけれど、なんとなく五感で認識出来るようです。
随所に出てくる漢詩や短歌が効果的な使われ方をしています。
「ぼくを探しに」の翻訳で有名な著者は、「星の王子さま」の翻訳も手がけ、近年逝去したとのこと。
簡素で流麗な語彙が豊富な作家だと思います。
ちなみに「よもつひらさか」は古事記に出てくる坂の事だそうで、「黄泉比良坂」と書くそうです。文字からしてあの世とこの世の堺の坂?
この本の装丁がまたいいんですねぇ・・・拡大してみてください。