わたしを離さないで

イギリスの日本人作家、カズオ・イシグロの小説です。

カズオ・イシグロは幼少の時分に渡英したので、ほとんど日本語を話すことができないようで、当然英語で書かれたこの小説も翻訳家が介在します。

お話は、フィクションで、つい最近ごろの時代設定だとは思いますが、イギリスのどのあたりとかそういったことはわからないのです。

主人公とその友人を取り巻く特異な環境について、読み進めていくうちにだんだん述べられていくのが特徴です。すでに定められた運命を、主人公は  周りの環境とバランスをとりながら自然に受けいれていきます。

過去の施設での出来事について保護官に真実を教えられたとき、 主人公がアイデンティティーをどのように受け入れていくか葛藤するのですが、これもまた物語の設定が非常である所以です。

本当に心象が事細かに丁寧に 静かに かかれていて、自分のことのように思われてしまうのが不思議。

風景についても、自分が本当に写真でも見たっけ、と思うほど緻密に表現されています。言葉で風景を共有できるようです。

映画は今年の3月に日本でロードショーされる予定だったのですが、震災の影響か、見ることはできませんでした。絶対レンタルするぞー。

新刊本に、その本の映画化のCMが帯に写真付きで出ていたりすると、登場人物のイメージがもうすっかり確定してしまいます。今回もそうでした・・・

この投稿のカテゴリー:

コメントを残す